ストーマ保有者の方々の体験談

一時的ストーマ、永久ストーマに関わらず、ストーマを造設することで生活スタイルが変わることもあれば、変わらないこともあります。個人差はありますが、ストーマのある生活に慣れるまでに多くの時間がかかる場合もあるかもしれません。どのように対応するかは状況によって異なります。ストーマのある生活を送られている方々のご経験を紹介するストーリーを集めました。参考にしてみてください。

ベント

2006年から ウロストミー (尿路ストーマ)

 

2006 年の末、私は血尿が出て排尿時に痛みがあることに気づきました。高熱が出て具合が悪くなり、突然片足に痛みを覚えました。私は入院し、脚に血栓ができていることが判明しました。医師の説明によると、急に横になってじっとしていると、血栓ができることがあるそうです。あまりにも熱が高かったので、私はベッドでじっと横になっていました。私は入院するとき、毎晩何度もトイレに行くこと、尿に血液が混じっていること、排尿時に痛みを伴うことを医師に話しました。この症状を聞いて、医師は私の膀胱をスキャンしました。検査を受けている時、何かがおかしいことを察知しました。スタッフによると、膀胱に何か普通でないものが写っていることがわかったが、良性か悪性かは判断できないということでした。病院のスタッフは素早く対応し、膀胱の生体検査を行ってくれました。

生体検査の結果、残念なことに膀胱癌にかかっていることがわかりました。そんなに状況が深刻だと思わなかったので、私は衝撃を受けました。高熱は出ましたが、それ以外は健康で体調も良かったからです。診断してくれた医師は膀胱のどこに癌があるかを詳しく説明してくれました。私は信頼できる医師に任せられて心強く思いましたが、癌と診断されたことについては当然ショックでした。私は健康的な生活を送っていたし、喫煙をしたこともなく、他に不健康な習慣もなかったからです。

自分の体内に癌細胞が巣食っていると考えることは恐ろしいことでした。自分が癌患者だと考えるなんてバカげていると思いました。幸い私の癌は手術で取り除くことができたので、化学療法も放射線療法も受けずに済みました。癌が見つかってすぐに手術が行われたからです。私は最良の予後を期して、膀胱を全摘してもらいました。

膀胱を摘出すればストーマが必要になります。ストーマについては何一つ知りませんでした。医師が「ストーマ」という言葉を口にしたとき、私はぽかんとした顔をしていました。ストーマケアの看護師に連絡を取って、ストーマとは何か、またその仕組みを説明してもらいました。一番役に立ったのは、尿路系全体を図解したパンフレットをもらったことでした。ストーマケアの看護師は、ストーマ袋がどんなものかも見せてくれました。ですが、まったく自分のこととしてとらえることができませんでした。私は手術のことで頭がいっぱいで、体の中から癌を追い出すことだけに意識が向いていたからです。他のことは、後で対処しようと思っていました。

手術後の最初の数日

手術後に目を覚ましたとき、ストーマのことは頭にありませんでした。手術が成功したかどうかだけを知りたかったのです。私は自分の身体から癌をなくすことに集中していました。しかし妻と娘は、私が自分の「殻」に閉じこもってしまったと思ったそうです。身体から癌を追い出すために闘っているのは病院と私だけで、他には誰もいないという印象だったそうです。

後日、妻と娘が気持ちの上で私とのつながりを感じられず、悲しい思いをしていたと打ち明けてくれました。私がすっかり家族との関係を切り離してしまったと感じたそうです。妻と娘に大きな苦労をかけてしまいました。振り返ると、私が引きこもってしまったのは、怯えていて、手術に対応することに精一杯だったのだと思います。愛する家族の心配や世話を受け止めきれなかったことは明らかでした。ですがその後、幸いにも話し合う機会があり、私たちは全員気持ちが楽になりました。妻と娘はいつでも一生懸命やってくれています。私がどんな反応をしても、私を支え、そばにいてくれるのです。

新しい相棒 — ストーマ

退院した私は、ストーマに慣れるという次のステップに移る覚悟ができていました。ストーマ袋と面板を自分で交換できるようになるのに、それほど時間はかかりませんでした。とは言え、夜にドレインネージバッグを付けたまま寝ることには慣れなければいけませんでした。最初は、状況が把握できるまでちょっと落ち着きませんでした。尿は昼夜を問わず作られているので、バッグが尿でいっぱいになりすぎないように、夜はバッグにチューブをつなぐ必要があるのです。今ではこの作業を自然なものとして捉え、楽しんで対処できるようになりました。

裸になる感覚が恋しい

最初は、裸になれないのが奇妙な感じでした。常にストーマ袋を着けているので、完全に裸になった感じがしませんでした。裸になる感覚は私にとって大切です。ですので、私は毎朝シャワーを浴びて、すべてのものを脱ぎ去ります。ストーマ袋もです。

私はストーマを造設する前に、ストーマ保有者がプールに向かう姿をからかったコメディ番組をテレビで見たことがありました。これを見て私は、公共のプールへ行ったり浜辺で海水浴をしたりすることが問題になるのだろうかと思いました。しかし、問題になったことはありません。私はやりたいようにやります。スイミングもするし、自転車にも乗り、トレーニングもします。ペタンクもします。私はストーマを造設する前と同じ生活を送っています。ピアノ、ギター、ハーモニカも演奏します。ストーマがあるからと言って、音楽が違って聞こえることはありません。私は今もセールスマンとして仕事を続けています。癌になってストーマを造設する前から、私は勤務時間を短縮していました。私は仕事に来て顧客と話をするのを楽しんでいます。仕事が好きなので、辞めるなんて想像もつきません。職務を果たすうえで、ストーマが障害になったことはありません。

他のストーマ造設者へのアドバイス

私と同じ境遇にある方々への私からの最初のアドバイスは、ノートを購入することです。自分の考えや質問をすべて書き出してください。自分の身に起きたすべてのことについて、スタッフに質問するのです。私はこれを行っているうちに、落ち着きと安心感が得られ、状況が把握できました。医師や看護師、他のストーマ保有者に助けを求めることをお勧めします。私は、私と同じように膀胱癌になってストーマを造設した男性と電話で話しました。この経験はとてもためになりました。同じ経験を体験していなければ、他の人にはわかってもらえないことも話し合うことができました。

市販されている多くのストーマ袋の中から選ぼうとする人もいるでしょう。私としては、最初に試したシステムに慣れることをアドバイスしたいと思います。少し時間が経ってから、私はさまざまな種類のストーマ袋を試し、自分に最も適した袋を見つけました。少し時間はかかりますが、経験が大いに役立ちます。私は、旅行するときはいつもストーマ用品を十分に持って行くようにしています。特に飛行機に乗るときには、手荷物として持ち込むことが重要です。すべてのスーツケースが一緒に目的地に到着する保証はないからです。